介護施設選びで後悔しないために知っておきたいポイント
前編・中編では、在宅介護サービスや長期入居施設の種類、それぞれの特徴についてご紹介しました。
介護施設にはさまざまな種類があり、それぞれ役割や対象となる方が異なります。そのため、「どの施設が一番良いか」という答えはありません。
大切なのは、ご本人の身体状況や介護の必要性、ご家族の生活環境に合った種類の施設を選ぶことです。
しかし、初めて施設探しをする方の多くは、「何を基準に比較すればいいのか分からない」「費用はどれくらいかかるのか不安」と感じています。
そこで当記事では、施設を比較する際のポイントや費用の目安、見学時に確認したいことなど、施設選びで役立つ情報をご紹介します。
介護施設を比較するときのポイント
■ 比較したいポイント
- 入居できる条件
- 医療対応の範囲
- 月額費用
- 入居一時金の有無
- リハビリの充実度
- レクリエーション
- 面会しやすさ
- 看取りへの対応
介護施設は、名称が似ていてもサービス内容には大きな違いがあります。
例えば、リハビリを重視する施設もあれば、長期的な生活の場として利用する施設もあります。また、医療的ケアに対応できる施設もあれば、対応が難しい施設もあります。
そのため、実際に入居した時に「どんな生活が送れるのか」という視点で比較することが大切です。
パンフレットだけでは分からないことも多いため、施設へ実際に赴き見学することを強くお勧めします。

介護施設の入居条件について
それぞれの介護施設ではそれぞれの特徴に基づいて、入居するための条件が設けられていることがほとんどです。
まずは入居条件を知り、その上で自分たちに合った施設を検討しましょう。
| 施設名 | 入居条件 | 要介護度の目安 | 認知症 | 医療ケア | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 原則65歳以上・要介護3以上(特例あり) | 要介護3~5 | ○ | △ | 長期入居向け。費用を抑えやすい。 |
| 介護老人保健施設(老健) | 要介護1以上 | 要介護1~5 | ○ | ○ | 在宅復帰を目指すリハビリ施設。 |
| 介護医療院 | 要介護1以上 | 要介護1~5 | ○ | ◎ | 医療依存度が高い方にも対応。 |
| 介護付き有料老人ホーム | 施設ごとに異なる(自立~要介護5まで幅広い) | 自立~要介護5 | ○ | ○ | 施設によって受け入れ条件が異なる。 |
| 住宅型有料老人ホーム | 施設ごとに異なる | 自立~要介護5 | ○ | △ | 介護は外部サービスを利用。 |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 原則60歳以上または要介護・要支援認定者 | 自立~要介護3程度※ | △ | △ | 比較的元気な方向け。介護は外部サービスを利用。 |
| グループホーム | 原則65歳以上・要支援2または要介護1以上・認知症の診断・施設所在地の市区町村に住民票があること | 要支援2~要介護5 | ◎ | △ | 認知症の方が少人数で共同生活を送る施設。 |
※施設によっては要介護度が高い方も受け入れています。
入居条件は施設によって異なる場合があります。
特に有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、運営会社によって受け入れ条件や医療対応の範囲が異なります。また、公的施設でも空き状況や地域の運用によって入居までの期間が変わるため、希望する施設へ直接問い合わせたり、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談したりすることをおすすめします。
公的施設と民間施設の違い
ここで公的施設と民間施設の違いを今一度確認しておきましょう。
大きな違いは下の表のとおりです。
| 項目 | 公的施設 | 民間施設 |
|---|---|---|
| 費用 | 比較的安い | 比較的高い |
| 入居待ち | 多い | 少ない傾向 |
| 設備 | 必要十分 | 施設により充実 |
| レクリエーション | 施設による | 充実していることが多い |
| サービス | 標準的 | 施設ごとの差が大きい |
公的施設は費用面での負担を抑えられることが大きな魅力ですが、その分、人気が高く入居待ちが発生することも少なくありません。
一方、民間施設は費用が高くなる傾向があるものの、設備やサービス内容が充実しており、ご本人の希望に合わせて選択しやすいというメリットがあります。
どちらが優れているというわけではなく、ご本人やご家族の希望、介護度、予算などを総合的に考えて選ぶことが重要です。

施設ごとの費用の目安
何度も説明しているとおり、施設を選ぶときは本人や家族の希望を大前提とし、介護度や予算などを踏まえて、総合的に判断することが重要です。
しかし、大きなネックとなるのが「費用」です。いくらここに入りたいと希望しても、ない袖は振れません。
そこで各施設の大まかな月額費用を紹介します。
施設選びの参考にしてください。
■ 月額費用の目安
| 施設 | 月額の目安 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 約8~15万円 |
| 介護老人保健施設 | 約8~15万円 |
| 介護医療院 | 約10~20万円 |
| 介護付き有料老人ホーム | 約15~35万円 |
| 住宅型有料老人ホーム | 約10~30万円 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 約10~25万円 |
| グループホーム | 約12~18万円 |
当然ながら、費用は地域や居室タイプ、介護度、サービス内容などによって異なります。
したがって、上の表はあくまで参考となります。
それぞれの施設のホームページやパンフレットなどにも、大まかな費用は掲載されていると思います。
しかし、掲載されている金額だけで判断するのはおすすめできません。
なぜなら、月額利用料のほかに、食費や居住費、日用品代、医療費、おむつ代、理美容代などが別途必要になることがあるからです。
また、有料老人ホームでは入居一時金が必要な施設もあります。
そのため、「毎月どのくらいの費用がかかるのか。」「追加料金が発生するサービスはあるか。」を事前に確認しておくことが大切です。
入居一時金とは?
入居一時金とは、主に有料老人ホームや一部のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)へ入居する際に支払うまとまった費用のことです。施設によっては「前払い金」や「入居金」と呼ばれることもあります。
入居一時金は、家賃を前払いするような性質を持つ費用で、施設側はこれを一定期間にわたって償却(分割して充当)していきます。そのため、毎月の利用料を抑えられるプランが用意されていることもあります。
一方で、近年では入居一時金が0円の施設も増えています。この場合は初期費用を抑えられる反面、毎月の利用料が高めに設定されていることが一般的です。
入居一時金は高額で分かりにくいことも多く、トラブルの素になりやすい項目です。
そのため、ここで少し深堀しておきましょう。

入居一時金は返ってくる?
「一度支払ったら返ってこないのでは?」と心配される方も少なくありません。
現在は法律により、入居一時金を受け取る施設では返還ルールを契約書に明記することが義務付けられています。また、多くの施設では数か月程度の「初期償却期間(短期解約特例)」が設けられており、その期間内に退去した場合の返金方法も定められています。
ただし、返還額は契約内容や退去時期によって異なります。思っていたより返金額が少ないというケースもあるため、契約前に返還条件や償却期間をしっかり確認しておくことが大切です。
入居一時金の相場
入居一時金は施設によって大きく異なります。
- 0円(前払い金なし)
- 数十万円~300万円程度
- 高級な有料老人ホームでは1,000万円以上になることもあります。
高額だから必ずしも良い施設というわけではなく、立地や設備、介護・生活サービスの充実度などが金額に反映されていることが多いです。
契約前に確認したいポイント
入居一時金が必要な施設では、金額だけを見るのではなく、契約内容まで確認することが重要です。
■ チェックしておきたいポイント
- 入居一時金は必要か、それとも0円プランがあるか
- 月額利用料はいくらになるか
- 入居一時金はどのように償却されるのか
- 途中で退去した場合の返還ルール
- 契約解除時に追加費用が発生しないか
初期費用が安くても月額利用料が高い施設もあれば、入居一時金を支払うことで毎月の費用を抑えられる施設もあります。そのため、「入居一時金だけ」「月額利用料だけ」で判断するのではなく、数年間利用した場合の総費用も考慮しながら比較することが大切です。

「こんな方におすすめ」早見表
結局「どの施設がいいのかよくわからない」という方もいらっしゃると思います。
介護は色々と難しいことが多すぎますよね。
そこで、早見表を用意しました。
| こんな方におすすめ | 適した施設 |
|---|---|
| 費用をできるだけ抑えたい | 特養 |
| リハビリを受けて自宅へ戻りたい | 老健 |
| 医療ケアが必要 | 介護医療院 |
| 手厚い介護を受けながら生活したい | 介護付き有料老人ホーム |
| 比較的自由な生活を送りたい | 住宅型有料老人ホーム・サ高住 |
| 認知症で少人数の生活が向いている | グループホーム |
まずはこの表で施設をしぼってから、調べ始めるのも良いのではないでしょうか。
施設見学で確認したいポイント
■ 施設見学のチェックポイント
- スタッフの対応
- 入居者の表情
- 施設内の清潔さ
- 食事の内容
- 居室や共有スペース
- 医療機関との連携
- 面会や外出のルール
施設を選ぶ際は、パンフレットやホームページだけで判断せず、できるだけ実際に見学することをおすすめします。
建物の新しさだけでなく、スタッフが入居者へどのように接しているか、施設全体の雰囲気はどうかといった点は、実際に訪れてみないと分からないことが多くあります。
気になることがあれば遠慮せず質問し、ご本人が安心して生活できる環境かどうかを確認しましょう。

介護施設への移動にも介護タクシーが役立ちます
■ 介護タクシーが活躍する場面
- 施設見学
- 入居・退居
- 転院
- 通院
- 一時帰宅
- 冠婚葬祭や外出
施設への入居が決まると、見学や契約、荷物の搬入、入居当日の移動など、ご本人が外出する機会が増えます。
また、入居後も定期的な通院や一時帰宅、冠婚葬祭への参加など、移動が必要になる場面は少なくありません。
歩行に不安がある方や車いすをご利用の方にとって、一般のタクシーでは乗り降りが難しいことがあります。
そのような場合には、介護タクシーを利用することで、介助を受けながら安全に移動することができます。
介護タクシーは単なる移動手段ではなく、ご本人が安心して外出し、ご家族の負担を軽減するための大切なサービスです。
施設での生活が始まった後も、必要に応じて上手に活用するとよいでしょう。
まとめ
■ 今回のポイント
- 介護施設にはそれぞれ異なる役割がある
- 公的施設と民間施設には費用やサービス内容の違いがある
- 施設選びでは、本人の状態や希望に合った施設を選ぶことが大切
- 見学を通じて、スタッフの対応や施設の雰囲気も確認する
- 入居後の通院や外出では介護タクシーが役立つ場面が多い
介護施設選びは、ご本人のこれからの生活を左右する大切な選択です。
「知名度が高いから」「費用が安いから」という理由だけではなく、身体状況や介護の必要度、ご本人・ご家族の希望などを総合的に考えながら検討することが重要です。
迷ったときは、一人で悩まず、ケアマネジャーや地域包括支援センター、施設の相談員などに相談してみましょう。
専門家のアドバイスを受けながら複数の施設を比較することで、より納得のいく施設選びにつながります。
この記事が、それぞれの介護施設の特徴をつかみ、入居選択の参考になったなら幸いです。

■ 初心者向けワンポイント
施設への入居はゴールではなく、新しい生活のスタートです。
入居後も通院や外出、一時帰宅などで移動が必要になることがあります。
移動手段まで含めて事前に準備しておくことで、ご本人はもちろん、ご家族も安心して介護生活を送ることができます。
介護タクシーを上手に活用しながら、無理のない介護環境を整えていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。




