この記事はカイタクネット「事業者インタビュー」の記念すべき第1回目となります。
インタビューでは利用者様へ向けて、各事業者の特色や考えを発信していきたいと思います。
今回は埼玉県所沢市で「NPO法人所沢オハナ」を運営している前田さんからお話をお聞きします。
「NPO法人所沢オハナ」の運営体制
まずは自己紹介をお願いします。
わたくしたちは、埼玉県所沢市で「NPO法人所沢オハナ」という、介護保険タクシーの事業所を運営しております。
介護保険を取り扱っているため、訪問介護事業所にもなっています。
タクシー業務に使用している車両は4台で、ヘルパーさんが送迎する…いわゆる「ヘルパータクシー」での送迎も行っています。
営業時間は7時から20時まで、定休日は日曜日です。
とはいっても、21~22時くらいまで送迎していることが良くありますね。
介護タクシーはいつごろ始められたんですか?
2025年で11年目なります。
10年程前は「介護タクシー」という存在が、社会的にまだまだ認知されていませんでした。
そのためか、まわりに同業者の方はあまりいませんでしたね。
特に介護保険が使える「介護保険タクシー」は、所沢には全くいませんでした。
介護タクシーを始めた動機やきっかけはありますか?
それがですね…当時勤めていたアパレル関係の会社が倒産してしまいまして…
その時、なんとなく知っていた「介護タクシー」という存在に興味が湧いてきた…というのが「きっかけ」ですかね。
それで色々勉強しながら、仲間と二人で訪問介護事業所を起ち上げたんです。
もともと介護業界にいた訳ではないので、苦労しました(笑)。
最初の1年は「食べていけないんじゃないか」というくらいでしたよ。
ですが、介護保険が使える「介護保険タクシー」は、まわりに競合のライバルがいないこともあって…
2~3年目には利用者さんが必然的に増えていました。
起業しやすい「福祉タクシー」から始めて、事業拡大時に申請や許可に手間のかかる「介護保険タクシー」にステップアップしていくというのが、介護タクシー業界の通常の流れです。
しかし前田さんは「介護保険タクシー」から始められた…
事業の成功は「高齢者の方たちが困っているところに注目して早期に対応した結果」と言えますね。
介護にも強い「所沢オハナ」
介護保険タクシーを運営するために訪問介護事業所の指定を受けている事業所では、乗降介助に特化し利用者様の生活介助を行っていない事業所も多くあります。
所沢オハナさんでは、介助業務はどのような方針で行っていますか?
所沢オハナでは、訪問介護などの生活介助全般も行っています。
事業としてメインで行っているわけではありませんが、利用者さんの中には希望する方もいらっしゃるので…
今は必然的に増えていますね。
お話しした通り、もともと私は介護業界の人間ではありませんでした。
しかし、必死に勉強して訪問介護事業所を起ち上げ、今では介護系の事務仕事や会議などは全て私が行っています。
さらにいえば、4人いるスタッフの多くが介護系の資格を所持しています。
介護職には珍しく男性スタッフがメインで、力のいる介助もお手のものです。
2階からの搬送もお任せくださいね。
福祉タクシーとして、利用者さんから介助の依頼があれば、基本的に受け付けていますよ。
送迎だけでなく「介護」にも強い事業所と言えますね。
利用者に寄り添う姿勢が感じられます!
ちなみに保険適用の「介護保険タクシー」と、保険を利用しない「福祉タクシー」ではどちらの依頼が多いでしょうか?
そうですね…うちでは「介護保険タクシー」の方が多いですね。
6:4くらいの比率でしょうか。
収益としては「福祉タクシー」の方が、断然効率は良いのですが…
それでも、保険を利用するお客さんからの求める声が大きいので、辞めるわけにはいかないですね。
特に透析患者さんからのニーズは凄いです。
うちでは透析送迎チームを作って対応していますが、朝から夜の19時ぐらいまで連日予約でパンパン。
所沢市には、透析の病院が非常に多いというのも一因でしょう。
利用者さんから必要とされているのは嬉しいものです。
収益ではなく、困っている人を助ける社会貢献優先の姿が眩しいですね。
送迎車両について
利用者の送迎に、どのような車両を使用しているか教えてください。
現在は4台稼働しています。
1台目が日産のNV200です。
こちらは比較的大きいので、ストレッチャーやリクライニング車イスを収容できます。
水平状態を保たなければならない利用者さんには、この車両で対応します。
2台目3台目はスズキのエブリィ…いわゆる軽バンタイプですね。
通常の車イスの方には、こちらで対応します。
軽自動車とはいえ、室内空間は広いのでゆったりできます。
4台目は介護保険適用の専用車にしているスズキのワゴンRになります。
どの車も福祉車両の艤装に特化した会社にお願いしているので、利用者さんには安心安全の送迎を提供できています。
どの車も小回りが利きますので、狭い路地の奥にお家があっても問題なくお迎えにあがれますね。
ストレッチャー対応のNV200でも、最小回転半径が5.2mとクラス最小です。
利用者とのエピソード
事業者である前田さんは、ドライバーも兼任されていますよね。
お客さんとの対応で、何か印象に残ったエピソードなどはあるでしょうか?
特にこれだ!!…というエピソードはありませんが…
やっぱり「ありがとう」という言葉が一番うれしい!!
送迎ひとつひとつが疲れますが、その言葉が活力になります。
反対に失敗したこともあります。
迎えの予約を忘れてしまってて…利用者さんからの電話で気付きました。
その時は心を込めて謝まって、時間を調整して迎えに行きました。
当然、怒られましたけど…それでも、次回の予約を入れてくれた時はありがたかったですね。
失敗が原因で利用者さんと「もう、それっきり」というのは経験していません。
それだけ普段から丁寧な接客をされており、利用者さんとの強い繋がりを構築していることが判りますね。
今後について
まだまだこの「介護タクシー」という仕事を続けていくと思いますが、今後のことはどのように考えていますか?
そうですねぇ…
現在、私は54歳なので…後10年くらいは身体が動くなら続けていきたいですね。
幸いなことに、利用者さんの介助とかで腰を痛めているわけでもないですし…
とにかく身体が資本。
私の身体が動くうちは「誰もが気軽に安心して外出できるサポート」を続けていきたいですね。
わかりました!
本日はお忙しい中、お時間ありがとうございました!!
こちらこそ、ありがとうございました!
ーーーーーーー
NPO法人所沢オハナさんは、訪問介護事業所と介護タクシーの二刀流で利用者に寄り添っています。
起ち上げた前田さんは、アパレルという全く別の業界から転身した強者。
とても勤勉で、地域貢献ファーストの人当たりの良い御仁でした。
なお、NPO法人所沢オハナの公式Facebookおよびホームページは、下記リンクからご覧ください。