カイタクネット「事業者インタビュー」では、利用者様へ向けて、各事業者の特色や考え方を紹介しております。
今回はその第3回目。
沖縄県中部地区を中心に沖縄県全域で活動し、介護職から転職した「介護タクシーいまここ」の齊藤さんからお話を伺います。
※画像はいまここ公式HPおよびインスタグラムから転用しております。
「介護タクシーいまここ」の運営体制

こんにちは
まずは自己紹介をお願いします。

こんにちは。
私は介護タクシー「いまここ」の齊藤と申します。よろしくお願いします。
いまここは沖縄県全域で営業している介護タクシーです。
営業時間は8:00~20:00です。
なお時間帯に関してはご相談いただければ、無理のない範囲でご要望に応えたいと思っております。
また、夜間および深夜時間帯は別途対応料金がかかりますので、ご了承ください。
送迎車はミニバンのヴォクシーを使用しています。
通常の車いすはもちろん、リクライニング車いす、ストレッチャーも収容可能です。
また、決済手段は現金のほかクレジットカードやQRコードにも対応しています。

事務所は沖縄県のどのあたりに構えていますか?

事務所は沖縄県中頭郡読谷村に構えています。
ちなみに読谷村は「よみたんそん」と読みます。

読谷村というと、あの星野リゾートのひとつである「星のや沖縄」があるところですか?

ええ、そうですね。
事務所から近いといえば近いですよ。
観光的にもとても良いところなので、是非足を運んでいただけると嬉しいです。

介護タクシーを始めたきっかけ

いまここさんは事業を開始してどのくらいになりますか?

それがまだ一年程度です。
2025年の3月で丸1年になりました。

開業して間もないんですね。
はじめられたきっかけは何かあるんでしょうか?

そうですね。
私は前職で居宅介護事務所に5年間勤めていたんですよ。
高齢者というよりは、障害のある方をサポートするのがメインの仕事でした。
その間に介護福祉士の資格も取得して、サービス提供責任者にも就いていたんですが…
そこで多くの障がい者や高齢者の方が、移動に困っているという現状を目の当たりしてきたんです。
それでこのような…いわゆる「交通弱者」の方のための活動をしたい、と思ったのがきっかけですね。

素晴らしい動機です。

まあ、ほかにも僕自身が「外に出る仕事が好きだ」という理由もあります。
それに歳も40歳を過ぎているんで…
いい歳なので「独立するなら今しかないかな」っという感じで腹をくくりました。

交通弱者への思いと齊藤さんの適性がマッチした末の「介護タクシー」だったわけですね。

そうなるんですかね。
とはいえ、介護タクシー開業には第二種運転免許が必要なので、思い立ってから少し時間はかかっています。
働きながらの取得だったので1年くらいかけましたね。
そもそも沖縄は二種免許を取り扱っている教習所が少ないんですよ。
さらに高校生の間を縫って、教習所の予約を入れるのが大変でした(笑)

ほかにも開業の準備で苦労されたことはありますか?
開業の手続きは大変だっと思いますが…

ええ、大変でしたね。
行政書士さんなどに頼むと30~40万円くらいかかるので、全部自分でやりました。
ちょうど、すぐ近くに10年以上の経験をもつ先輩の介護タクシーさんがいて…
開業した時の書類とか貸してもらえたんですよ。
その書類を参考にして自分で作成したって感じです。
それがないととても無理でした。
すごく感謝しています!!

開業当初の不安と仲間の大切さ

開業してからのすべり出しはいかがでしたか?

それがもう、やっていけるのかなって不安で不安で…
最初は夜も眠れなかったです。
営業も自分なりに回ってみたんですけど…反応は良かったんですけどね。
でも、依頼はこないっていう感じで…最初のころは一か月の売り上げ3万円とか…(´;ω;`)

では、どうしたんですか?
打開案や工夫したポイントみたいなのはありましたか?

僕の場合はちょっと特殊たど思いますが…
先ほど話した先輩から那覇の方で活躍している「大先輩」を紹介してもらいました。

ほう、県都の那覇市の大先輩ですか。

はい。
那覇市は介護タクシーの需要が高く、仕事がたくさんあるんです。
そこで大先輩の下について1か月間みっちり仕事を教えてもらいました。まあ、修行みたいな感じです。
その間に同業他社さんや、他の業者さんとの繋がりが出来てきまして…
そのつながりから、ヘルプや応援の依頼が来るようになりました。
そこで信用が出来てきたんでしょうね。
お客さんも「いまここ」に依頼をくれるようになったんです。

なるほど!
紹介や応援の仕事から徐々にお客さんの信用を勝ち取っていたんですね。

ええ!
この件から、応援の仕事をちゃんと丁寧にこなしていくのが一番の近道だ、ということがわかりました。
やっぱり営業先の相手にしてみたら「知らない人に仕事をお願いしたくない」という思いはありますよね。
ケアマネージャーさんや病院の相談員さんも利用者さん第一でしょうから…
信用していない相手に、利用者さんの身を預けるような仕事を割り振れませんよね。

その通りですね。

なので、僕は応援で行ったときに顔を覚えてもらうよう努力しています。
営業もそれからじゃないと意味がないんです。
僕自身も依頼が被った時、誰かにヘルプしてもらいます。
そんな時は、やはり繋がりのある信頼のおける方にお願いしています。
大事なお客さんを知らない方に預けることは出来ませんもんね。

なるほど、なるほど。

ともあれ、開業当初は大変でした。
現在いまここがあるのは、力を貸してくれた介護タクシー仲間と信頼してくれたお客さんのおかげです!!

いまここのここどこ?

開業にあたりホームーページの開設やSNSの準備などはされましたか?

はい、ホームページは開業に合わせて作成しました。
SNS…特にインスタグラムは開業を思い立った時から作り始めましたね。
というのも、開業前から「観光の介護タクシー」をやりたいと思ってまして…
沖縄の「車いすでも行ける観光地〇選」みたいな投稿をいっぱいあげていました。

いまここさんはインスタグラムのフォロワーさんが3000人を超えてますね。
すごいです!!
何か秘訣はあるんですか?

ありがたいことに沢山の方がフォローしてくれています。
というのも、インスタグラムで「いまここのここどこ?」というクイズをやっているんです。
介護タクシーはいつも走り回っていますからね。
そのドライブレコーダーの映像を編集して「ここはどこでしょう?」っていうクイズを開業してから始めました。

それはなぜですか?

やっぱり介護系って流行りづらいじゃないですか。
みんなに知ってもらいたい有益な話も、そもそも介護に興味がなければ見てもらえません。
なので、違った切り口で何か方法がないかなぁ…
と、模索してたどり着いたのがクイズです。
まずは、クイズでフォローしてもらってから、介護の話に興味を持ってもらえたらいいな、と考えました。

なるほど。反響はどうですか?
地元の方のコメントとか多そうですが…

それが意外ですが、地元外の方が多くコメントをくれるんですよ。
例えば、沖縄に旅行でいらっしゃった方が「ここ通ったことある!」というようなコメントが多いですね。
他にも内地…本州へ移住された方などから「懐かしい」といった声が聞こえてきます。
予想以上に多くの方に喜んでもらっています。
インスタグラムで初めて「いまここ」を知ってくれた方も結構多いみたいで…
仕事で走ってるとき、信号などで止まると手を振ってくれる方もいらっしゃいます。
そればかりか「いまここさん、いつも見てますよ~」みたいに声を掛けられることもあるんです!

それはうれしい!
SNSの活用が活きていますね!

そうですね。
またお客さんに知ってもらうだけでなく、介護タクシー仲間の横のつながりも増えました。

いまここさんの営業圏内で、同業他社さんはどのくらいいますか?

そうですね…今年結構増えてまして…中部地区だけで20社くらいありますかね。
そのほとんどは個人事業主ですね…私もそうですけど。
法人化して、台数多く営業しているところはあまりないと思います。
個人事業主の他には、訪問介護事業所の別事業として介護タクシーを手掛けているところが多いですね。
…割合にすると半々くらいかと。

訪問介護事業所ということは「介護保険」が使えるタクシーさんになりますよね?

介護保険タクシーの割合は少ないと思います。
メインはほぼ「保険外」の介護タクシーです。
まあだからこそ、介護タクシーの横の繋がりは大事だと思います。
横の繋がりが強ければ、お客様の使用用途と介護タクシーの提供サービスがマッチした業者をお互いに紹介しあえますからね。

業界の横の繋がりを強くすることが、利用者さんの利益にもなってるんですね。

独自サービス「ちょこタビ」

通院送迎などの他に、いまここさんが独自で打ち出しているプランやサービスはありますか?

はい。「ちょこタビ」というサービスを提供しています。
通常の観光介護タクシーですと、一日貸切って県外からくる方を案内するという感じになります。
ですが、いまここの「ちょこタビ」は沖縄県内の人で、まあ「ちょっと出かけよう」っていうのがコンセプトになります。
突っ込んで言うと「おでかけが最強のリハビリ」になりますよっていうことですね。
通常の通院だけでなくて、1、2時間だけ介護タクシーを貸切ってお出かけしよう、というプラン。
料金は乗降料も併せてコミコミの1時間4500円です。

すごくお安く感じますね。
実際にニーズはありますか?

そうですね。ちょいちょい依頼は入りますね。
特に好評なのが乗降料コミコミの点です。
他で見かける乗降料が別途請求されるプランでは、料金がすぐに跳ね上がってしまいます。
でも、ちょこタビではそんなことはありません。
コンビニで飲み物買って、現地で観光して、ついでにお土産屋さんにも寄って…
安心して何度も乗り降りできるっていうのが魅力になっていますね。

それは利用者さんも安心して、観光に集中できますね。

はい。
この間も、デイサービスを利用しているおばあちゃんたちと訪問看護の方と一緒に、観光地巡りをしてきました。
実際の様子をホームページに動画で載せていますので、是非ご覧ください。

沖縄で観光地巡りとか最高じゃないですか!

ええ、景色もいいし最高でした!!
もちろん、ちょこタビ以外の観光プランも用意してありますので、気になる方は直接お問い合わせください。
よろこんで対応させていただきます。

いまここの今後の展望について

いまここさんは車1台1人体制だと、前もってお伺いしています。
今後は増車増員して事業を拡大していく予定はございますか?

そうですね…
いろいろ考えましたが、拡大する予定はありません。
事業的には3台くらいあって人も雇った方が、いろいろな案件を受けやすいし、融通も利くと思うんですけど…
でも、一人の方がしがらみが少ないと思うんですよ。
自分のやりたかったことって何だろうと考えたときに、やりやすいのかなって思うんです。

なるほど、人が多いだけ調整もしがらみも増えますからね。
ストレスや苦労の方が多くなる可能性もありますし…

そうですね。
とりあえず一人でできる範囲で、今よりも多くどんどん送迎をしていきたいと思っています。

そうなりますと、もっとたくさんのお客さんにいまここさんを知ってもらう必要がありますね。
今後はさらにSNSなどを通じて、PR活動に力を入れていくと…

はい。それもありますし…

他にもあると…

介護タクシーの仲間を増やしていければいいなと思っています。
実際に、私のところへ連絡をくれる開業希望の方も少なからずいますし…
そのような方ともつながりを作っていって、起業した際には仕事を振ってあげるなどの手助けが出来ればいいと思ってますね。
現状は介護タクシー不足なので、僕のちょっとしたサポートで仲間が増えれば、結果的に利用者さんのためになるのではと考えています。

人柄も良いいまここさんなら、一緒に伴走して、心強い味方になってくれると思います!
最後に一言、メッセージなどはありますか?

そうですね……
私は介護タクシーを開業して本当に良かったと思っています。
開業当初、お客さんはいなくて不安だけがいっぱいありました。
でも、しっかり誠意をもって仕事に臨めばお客さんに信頼してもらえるのだと実感しました。
そのためにも仲間を大切にしながら、自身の経験をコツコツ積み上げていこうと思います。

素晴らしい抱負をどうもありがとうございます。
介護タクシーいまここの齊藤さんでした。
本日は改めてありがとうございました!

こちらこそありがとうございました。
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介護タクシーいまここの齊藤さんは、介護タクシー仲間との繋がりと、お客様からの信頼を大切にしております。
インスタグラムでの「いまここのここどこ?」といったクイズや、独自の「ちょこタビ」といったサービスプランを展開。
お客様のニーズに応えるサービスを追及する人柄の良い事業者さんでした。
なお、いまここさんの公式ホームページおよびインスタグラムは、下記リンクからご覧ください。
公式ホームページ↓
インスタグラム↓