介護タクシーや福祉タクシーは、高齢者などの移動に不自由を感じている方にとって、通院や外出に欠かせない大切なサービス。
まさに無くてはならない「日常の足」ともいえる存在です。
しかし、初めて利用する際は、どの介護タクシー事業者を選べばよいのか迷いますよね。
料金？サービス？送迎車？
…どんな点の何に注意して選べばよいのでしょうか？
また、利用した経験のある人でも、「予約がいっぱいでいつもの事業者を利用できない。」「引っ越しで新たな介護タクシーを探さなけれればならない。」なんてこともありえます。
果ては、いままで利用してた親御さんが「別の業者がいい」なんて言い出すこともあるかもしれません。
そこで当記事では、利用者目線で見る「良い介護タクシー（福祉タクシー）の選び方」を解説していきたいと思います。
良い介護タクシーを見分けるコツ
では、一口に「良い介護タクシー」なんて言っても、何をもって良いと判断するのでしょうか？
代表的な項目を挙げると下記の表になります。
- 安全・安心
- 提供サービス
- 介助の質
- 料金
- ドライバーとの相性
一つずつ見ていきましょう。
1.安全・安心
自動車を使って送迎をしてもらう以上、自身や身内の命を預けることになります。
まずは安全で安心できる送迎でなければなりません。
そのためにも、最初に「事業者の認可」と「ドライバーの資格」を確認しましょう。
介護タクシーや福祉タクシーであるということは、「一般乗用旅客自動車運送事業（福祉輸送限定）」や「福祉有償運送」の認可を受けているハズです。
国土交通省運輸局のウェブサイトから検索すると、認可を受けているかどうか確実な情報が得られます。
さらに名刺や車体に「国土交通省認可番号」が記載されていると安心です。
それでも不安な場合はサイトから照合してみましょう。
また、ドライバーの資格も安全・安心につながります。
普通第2種運転免許証を持っていれば、お客さんを乗せてお金をもらって運転できるドライバーである証拠です。
実際の運転は、利用しなければわからないところではあります。
しかし、少なくとも教習を受け、試験を突破してきている証拠となります。
2.提供サービス
事業者から提供されるサービス内容も重要な項目です。
まずは車両の設備。
例えば、寝たきりの利用者はストレッチャー対応がなければ、他のサービスが良くても利用することが出来ないからです。
そのため、車両の設備は優先的に確認しましょう。
ほかにもリクライニング車いす、酸素ボンベなどの設備が整っているかなど…自身が望む設備があるかどうかが重要となります。
また付き添いやイベント対応などのサービスの有無も重要です。
自身が望むサービスが提供されていなければ、他を探すしかありません。
3.介助の質
介護タクシーである以上、移動に不自由がある方の利用が大前提です。
つまり車両への乗降介助やベッドから車いすへの移乗などは、日常的に行われる介護サービスです。
それらの質が低く、介助に苦痛を感じるようであれば、別の事業者を探したほうが良いでしょう。
ドライバーのなかには、介護職出身で介護技術に長けた人もいるのです。
福祉系の専門学校に通い介護福祉士の資格を取得し、介護現場で５年の実務経験を積んだようなドライバーも実際にいます。
利用頻度が高いほど、介助の質は重要になってきます。
4.料金
また料金もバカにできません。
どこの事業者も「運賃」に関しては似たり寄ったり。
なぜなら、地域により相場が決められているからです。
しかし、その他の提供サービスである「オプション」に関しては、その料金は各事業所に委ねられています。
乗降介助の介護料は乗り降りの度にかかるのか？付き添いは時間制なのか？レンタル品の代金は？
…などなど。細かいものを挙げればキリがありません。
料金は内訳が明瞭に提示されている事業所を選ぶようにしましょう。
5.ドライバーとの相性
また、安全で、提供サービスがマッチしており、介護技術が素晴らしく、料金に納得がいったとしても、ドライバーとの相性が悪ければ、それだけで良い介護タクシーとは言えません。
不愛想なドライバーであれば、利用者の心象が悪くなるでしょう。
かといって、静かに過ごしたい利用者に、おしゃべりなドライバーはあっていません。
また、言葉遣いや対応の丁寧さ、ちょっとした要望への心配りなど。
ドライバーとの相性は思いのほか重要。
通院も含めた外出が楽しくなるかどうかは、介護タクシー次第といっても決して言い過ぎではありません。
自身にあっていると感じたら、リピートしお互いの信頼を築いていきましょう。
介護タクシーの探し方
では、あなたの地域で実際に介護タクシーを探そうとしたとき、どうすればよいのかを見ていきましょう。
一般的な情報を得る手段は以下のようになります。
- ケアマネや地域包括支援センターに相談
- 医療機関に相談
- 事業所のホームページ等を確認
- SNSや掲示板、口コミなどを確認
1.ケアマネや地域包括支援センターに相談
要介護認定を受けている方なら、まずは担当のケアマネージャーに相談してみましょう。
ケアマネージャーであれば、いつも頼んでいる介護タクシーの事業者がいるはずです。
その事業者を紹介してもらうのが、一番の近道。
ケアマネージャーは介護のプロ中のプロですからね。
介護タクシーの使用に介護保険の適用を考えている人は、いずれにせよケアマネージャーへの相談が必須になります。
また担当のケアマネがいないという方やその身内の方は、地域包括支援センターに相談してみるのも良い方法です。
そもそも包括支援センターは、高齢者の生活や健康に関する様々な相談を受け付け、支援につなげるのが仕事。
業務の一環として、紹介やリストの提供等があるでしょう。
2.医療機関に相談
大きな総合病院に既往がある方や入院中という方は、病院の相談員に話してみるのも一手です。
相談員はソーシャルワーカーともいい、医療に関する経済的な相談や退院の支援や調整が主な業務内容です。
仕事柄、他業種のとの関係性も深く、当然お馴染みの介護タクシーの事業者がいることでしょう。
また、病院自体が介護タクシー事業者と提携している場合もあります。
病院への通院や入院等の関係があれば相談窓口が利用できます。
3.事業所のホームページ等を確認
人に相談するのはちょっと…という方や、自身で調べたいという方もいますよね。
そのような方は、まずは事業所のホームページをチェックしてみましょう。
介護タクシーの事業者は個人事業主も多く、その中にはホームページ自体を用意していない事業者も多くいます。
または用意していても、更新せずに放置しっぱなしという事業者も少なくありません。
逆に言えば、月に１回程度でも更新が途絶えずに続いていれば、マーケティング意識が高いと言えます。
つまりは、利用者のためには「何が必要か？」を常に考えている事業者である、と言い換えることもできます。
ホームページからサービス内容と料金表を確認できたら、第一段階はクリア。
質問内容をまとめてから、実際に問い合わせてみましょう。
利用するしないは、問い合わせの結果次第で良いでしょう。
4.SNSや掲示板、口コミなどを確認
ホームページだけでなく、インスタやX（旧ツイッター）、LINEなどのSNSもチェックしてみましょう。
なぜならホームページを用意している事業者は、何かしらのSNSも用意していることが多いためです。
より多くの情報を、利用者まで届けようとしている証拠と言えます。
また、それと合わせてチェックすべきなのが口コミやレビューです。
こちらには利用者やその家族の生の声が載っています。
ある意味、利用において最も参考になるといっても過言ではありません。
どこを見てよいかわからないという方は、グーグルマップから検索してみましょう。
事業所の位置や連絡先がわかるだけでなく、口コミなどが載っています。
もちろん、口コミは個人の感想であると理解した上で、参考にしてください。
様々な特色のある介護タクシー
利用者によって、「良い介護タクシー」は異なるのは前述したとおり。
介護タクシーは提供サービスによって特徴は異なり、個人が感じる良し悪しも変わってくるでしょう。
そのため、この項目では介護タクシーの提供サービスに大まかにどのような特色があるのかを紹介します。
これらの特色を理解して、自分に合った介護タクシーを探しましょう。
| タイプ | 主な利用用途など |
| 医療機関送迎特化型 | 通院や入退院、透析患者などの送迎に特化したタイプ。 医療機関との連携が深く、利用提携している場合もある。 院内介助や会計の代行に対応している。 その分、他のサービス提供はしていないこともある。 |
| ストレッチャー対応型 | ストレッチャーやリクライニング車いすの積載が可能で、寝たきりの利用者にも対応できる。 軽バンタイプの介護タクシーなどは使用できない利用者の受け皿となっている。 |
| 介護連携型 | 乗降介助やベッドからの移乗の他、別の介助が必要な利用者に向いている。訪問介護事業所が併設されており、訪問介護の内容にまで踏み込める。要介護度が高めの利用者に人気。 |
| 外出・付き添い支援型 | 通院だけでなく、日常の買い物などにも利用できる。 付き添いサービスにも対応しており、時間制が多い。 柔軟な対応が期待でき、外出先でのサポートもしてくれる。 |
| レジャー観光、イベント対応型 | 観光地巡りや旅行のサポートをしてくれる。 独自で車いす観光ルートを確立している事業者もいる。 イベント対応では冠婚葬祭などへの送迎や付き添いがメイン。 半日、一日などの借り上げ料金が普通。 |
～まとめ～
介護タクシーは単に利用者を病院まで送迎することだけが仕事ではありません。
安全安心に送迎するのはもちろんのこと、利用者が感じている移動への不自由さを軽減し、外出の楽しさを味わってもらうことや社会との繋がりを持ってもらう架け橋となることが、介護タクシーの大きな使命です。
そのような使命があるからこそ、利用者の皆様にはご自分にあった「良い介護タクシー」を選択していただきたいと思っています。
次回は、初めての介護タクシー事業者に問い合わせする時の注意事項などを解説していきます。
この記事が介護タクシーを選ぶ際の一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
